2013年6月アーカイブ

著者は2012年に開催されたWSOP(ワールドシリーズオブポーカー)で、ポット・リミット・オマハ・シックス・ハンデッド部門で優勝した人。

目次
プロローグ
  1. みずから競争に参加する
  2. 強くなれる場に飛び込む
  3. スタートの環境は厳選する
  4. 成長に繋がるのは真剣な時間だけ
  5. 短期間で可能な限りの経験値を積む
  6. 点検して試行錯誤する
  7. 高い集中力を身につける
  8. 強者を観察して真似る
  9. 変化こそ人間の能力だ
  10. 情報からノイズを排除する
  11. 勝ってる時こそやり方を変える
  12. 不完全情報ゲームに「神」はいない
  13. 淡々と「期待値」で動く
  14. 運がきた時に勝ち切るために
  15. 感情にかられれば負ける
  16. 初めてのWSOP
  17. WSOP2012
  18. DAY2、オールイン8連勝!
  19. WSOP2012で日本人初の優勝!
エピローグ

非常に面白く読むことができました。

私が注目したのは、次の2点です。

  • どのようにして木原氏がプロとしてのレベルに達したのか?
  • プロポーカープレイヤーとして、オンラインと実際のカジノでどのようにプレイしているか?

本の前半は、木原氏が、自分の体験から

  1. そろばん
  2. 将棋
  3. 麻雀
  4. バックギャモン
  5. ポーカー
などの習い事やゲームに、いかにして上達したかが書かれており、大いに啓発されました。

特に、木原氏がポーカーで強くなるために、オンラインのポーカーで腕を磨いたことには、私がポーカー事情に詳しくないこともあり、目からウロコが落ちました。インターネットが普及しだした1995年頃にもオンラインカジノはありました。
しかしながら、正直に運営されているか、あまり信頼していなかったので、オンラインポーカーについても関心が薄かったからです。
インターネット利用者が増えたきっかけは、Windows 95の発売だと理解しています。
TCP/IPが付いてきたからです。
「インターネットの死角」(結城史郎 著)という小説が翌年の春に出版され、その中に日本人がオンラインカジノを経営するというエピソードが出ていました。

将棋の羽生善治が七冠に挑んだのが同じ年の1996年。
NHKで放送されたドキュメンタリー番組がありました。その中で最も印象に残っているのが、両者の勉強風景の違いでした。
羽生氏はパソコン画面に将棋盤を表示させ、棋譜を呼び出し、次々と表示画面を変化(前に戻ったり、先に進めたり)させていました。一方、中原氏は実際の将棋盤にコマを並べ、棋譜を見ながら、コマを動かしていたのでした。
(これは、羽生氏の方が中原氏に比べ、10倍速で将棋の勉強をしているのではないか?)と、当時非常な衝撃を持って映像に見入りました。

その後も、羽生氏と梅田望夫氏との対談を読み、「高速道路の先は大渋滞」という言葉を知りました。
すなわち、パソコンやネットを活用することで、時間と費用の面で、はるかに効率的に将棋の習得ができてしまう。その半面、ある一定のレベルに到達した人の数が増え、そこから先の競争が激化しているということ。

「高速道路」については、「運と実力の間」の木原氏の本でも、「4.成長に繋がるのは真剣な時間だけ」の「若い人は強い」や「頭脳ゲームを席巻するネット出身者」という節で
  • オンラインポーカーで腕を磨いた、過去4回のWSOPで優勝した21歳、23歳、23歳、24歳のプレイヤーたち
  • ネット碁で強くなった囲碁の井上裕太本因坊
  • 2011年の大和証券杯ネット将棋・最強戦で優勝した菅井竜也四段(当時)
  • 東風戦で強くなった麻雀の小倉孝プロ
の例が紹介されていました。

また、「大渋滞」については、ポーカーの世界でも真実のようです。
「高速道路とけものみち」などの章で繰り返し指摘されていました。

タグクラウド